大人のヲタ活記録日記

年季の入ったオタクのブログ。オタ活を楽しむ日常の事、一次創作、二次創作イラストの保存、漫画の感想など。

キングダム二次創作 論功行賞の衣装の話

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「やっぱりそれで行くのか?」

「せっかく考えてくれたのに悪りぃな」

「俺は構わないが。二人揃ってそれか・・・」

政は、普段の服装のままの俺達二人を前に渋い顔をしている。

「何か言う者もいるでしょうね。でもやっぱりこれでいいです」

漂が、笑顔でそう言った。

「そういや昌文君のおっさんも怒ってたな」

「もう諦めてくれてるだろ」

 


俺と漂は、論功行賞の席に行くのに普段のままの服装で行くことにして、さっき政にそのことを話したところだ。

 


漂は今まで、兵士として戦場に出る他、政の影武者としての役割もあって人前に顔を出すわけにもいかなかった。

けれど、今は影武者としての役割も終わり、これからは特に戦場での活躍が期待されている。

やっと漂が、思いっきり戦えるのを思うと俺も嬉しくなる。

強さからいくと俺と変わらないのではないかと思えるのに、目立つ武功を挙げる場面はあえて他の奴に譲る。

いつも後方から俺達をしっかり支えてくれていた。

 


戦場に出るようになって日を追うごとに体格も変わってきた事だし、一目見て政と瓜二つとは見えないのではないかというな話になった。

だからそろそろ、漂も表舞台に立たせてやりたいという事を、最近政が言い始めた。

たしかに、戦場に出て戦う漂は日に焼けて真っ黒になってきたしガタイもようくなってきた。

身長も俺と同じくらいあるし、見た目はたしかに以前ほどそっくりとは思えない。

初対面の頃は俺でも間違えるくらい似ていたけど。

今は、言われてみれば似ているという程度か・・・

髪型も政とは全然違い、長い前髪が半分顔を隠している。

今なら論功行賞の場に漂が行っても、大王とそっくりな男が出てきたと

言って騒ぎになるようなことは無いと思う。

 


本当は同じように命を懸けて戦っていて武功も上げているはずなのに、漂は今まで論功行賞の場に出てきたことはない。

政は前からそれを気にしていて、密かに褒美を取らせたりしていたのを、俺は知っているけど。

自分の影武者をしているせいで、漂が表舞台に立てないことを気にする政の気持ちも分かる。

漂はそれほど気にしてないみたいだったけど。

 


俺としては「二人で天下の大将軍になる」と誓ったのだから、これから先いつか将軍に昇格する時は、漂と一緒に任命されたいとずっと思ってきた。

次は四千人将かという今、将軍もそう遠い未来ではない。

俺は、蕞での戦いが終わった後くらいから漂に、目立たないようにしようとか気にするのそろそろやめてもいいんじゃないかと話した。

その場に一緒に居た政も同意してくれた。

 


漂も今回は目立つ武功を挙げていて、論功行賞にはおそらく一緒に呼ばれるのではないかと思う。

「着飾ったらかえって、大王様と似ていることがバレるかもしれないでしょう。これでいいんですよ」

漂は、政に向かってそう言って笑った。

「残念だな。美しい衣装を着れば二人とも立派に見えるものを」

政はそのつもりで衣装を準備しようと思っていたのか、かなり残念そうに言った。

俺は、自分が着たいとは思わないけど、着飾った漂の姿はちょっと見てみたいと思う。

きっと美しいに違いない。

「俺は将軍になる時でもこのままいくつもりだからな。漂は無理矢理付き合わなくていいぞ。お前だったら立派な衣装着ても似合いそうだし」

「そういえば貂も言っていたな。漂は立ち居振る舞いに品があると」

「俺は何なんだよ」

俺が品があるとは間違っても思わないけど、漂だけ言われるとちょっとムッとする。

「私は王宮に居た間に礼儀作法をかなり仕込まれましたからね。まだ忘れてないんだと思います」

「当然だ。俺らしく見せるとなれば、それくらいやってもらわないと困るからな。信はそのままでいい。それもお前の良さだからな」

「信が急に上品になったら不気味だな」

「何だよお前ら。笑ってんじゃねぇぞ」

言いながら俺も笑った。

礼儀作法とか俺は絶対に無理だ。

重くて動きにくそうな衣装も苦手だし、多分一生着ないと思う。

 


論功行賞の日、予想した通り俺と漂は二人とも名前を呼ばれた。

初めて名前を呼ばれて政の前に進み出た漂は、たしかに堂々としていて落ち着いている。

初めての時、歩き方がおかしくなった俺とは違うと思うとちょっと悔しい。

二人とも、普段の服装のまま。

それでさえも、漂はやっぱりどことなく品がある。

論功行賞の時俺を見るたび王賁は、貧乏くさいだの何だの言うくせにそういえば漂には言わない。

やっぱりどこか違うのか。

 

並んで褒美を受け取る俺達を見て、政はとても嬉しそうだった。

「お前達は俺の二本の剣だ。これからもよろしく頼む」