大人のヲタ活記録日記

年季の入ったオタクのブログ。オタ活を楽しむ日常の事、一次創作、二次創作イラストの保存、漫画の感想など。

キングダム8巻を振り返る 

f:id:yukitarot1967:20200317210512j:image

7巻の最後で王宮内の場面が出て、宮女向が伽に呼ばれて

嬴政の部屋に向かうところで終わった。

何度も伽に呼ばれながら何故か一度も大王から

手をつけられないという向に対して、周りの宮女達は

陰口をたたく。

そんな向を、同じ宮女で一歳年上の陽が明るく励ます。

8巻の内容は、嬴政が向に語る、秦国へ戻る前の壮絶な

体験の物語が中心。

f:id:yukitarot1967:20200317212117p:image

話の舞台は長年の秦の強敵国である趙国。

長平の戦いで趙国に勝った時、秦国の総大将白起は、

投降してきた40万人もの趙国の兵士を生き埋めにした。

殺された者達の親族の怒りと悲しみ、秦国への恨みは

生半可なものではなかった。

 

そんな状況の中、この趙国で秦国の王子が誕生する。

それが嬴政だった。

9歳になるまでの嬴政は、秦国民を激しく恨むこの趙国で

虐待のかぎりを尽くされて育つ。

 

政が生まれた事によって、自分も貧しく酷い生活を強いられる

事になった母親は、政につらくあたる。

食べ物を盗んで食べる程に飢えていて、周り中から虐待されて

心を閉ざしてしまっていた政。

 

そんな毎日が続いていたある日、ついに趙国を脱出する機会が

訪れる。

秦国からの使いが政を脱出させる計画を実行するため、趙国の

国都邯鄲に入った。

 

闇商人紫夏とその仲間達に話を持ちかけるが、紫夏は、政に

会ってから決めると答えを保留にした。

七年前には、政の父親の子楚を、呂氏が趙国から脱出させて

いる。

その時に母親と息子まで脱出させることは出来ず、二人は

趙国に置き去りという形になっていた。

 

その時と同じように、今度は子楚の息子である政を脱出させる

計画だった。

秦国に帰れば、政は次の王になる。

趙国で虐待を受けて育ち、恨みを持っているであろう子供に

秦国王になられる事など、趙国としては何としても阻止したい

ところだ。

そんな事に関われば自分達だって命が危ない。

紫夏の仲間達は引き受けたくなさそうな様子だった。

 

街で食べ物を盗み、追いかけたきた大人達に捕まって

腕を切り落とされそうになった政を、紫夏が助けた。

この時初めて政を見た紫夏は、脱出の手助けを引き受ける事を

決める。

自分も子供の頃、人に助けられて今がある。

誰にも手を差し伸べられる事なく生きてきた子供を、今度は

自分が助けようと紫夏は考えていた。

 

秦国に行くまでには五ヶ所もの関門を抜けなければならない。

荷の中に政を隠している事がバレれば、もちろん全員殺される。

命がけの脱出劇が始まった。

普段から顔がきく紫夏の存在のおかげで、途中危ない場面も

ありながら何とか関門を通過していき、先を急ぐ。

 

最後の関門を抜ける時、まさか中に人が入っているとは思って

いなかった衛兵が、政の隠れている俵に向かって試し打ちの

矢を放つ。

それでも見つかる事はなく無事関門を抜けてから、中を確かめると

政は矢で腕を射抜かれていた。

なのに泣くどころか声一つ上げず、無表情なままの政を見た紫夏。

何か普通ではない事が、この子供の身に起きているのではないかと

感じ取る。

 

紫夏が心配した通り、政は趙国での過酷な毎日の中で、

痛覚を含む体の全ての感覚を失っていた。

最後の関門を抜けてからは、いつ追手が来るか分からない中、

荷を捨てて全力で馬車を走らせる。

その時、政が馬車から飛び降りてしまう。

紫夏が政の後を追って馬車を降りた。

 

亡霊に取り憑かれ、全ての感覚を失ったような自分は

王にはなれないと叫ぶ政。

紫夏は、そんな政を抱きしめる。

初めて人に抱きしめられた政。

気を失った政を抱き上げて紫夏は馬車に戻るが、

この時脱出はすでにバレていて、追手はもうすぐ近くまで

迫っていた。

 

趙国の馬車は攻撃を仕掛けてくる。

紫夏の仲間の亜門も江彰も、秦国から来た道剣も、ここで

命を落としてしまう。

最後に残った紫夏も、壮絶に戦った末に政を守って死んだ。

 

国境近くまで騎馬隊を引き連れて来ていた昌文君に迎えられ、

政は9歳にして初めて秦国の土を踏んだ。

 

f:id:yukitarot1967:20200318000958j:image

場面は現在に移って、初陣で大活躍して百人将になった信は

甲冑を買うために貂と一緒に出かける。

同じ村から戦に出ていた者も何人もいたため、信の活躍は

すぐに広まり、皆が一目置くような存在になりつつある。

 

この日の帰りに、信と貂は、戦では一緒に戦った羌瘣に会う。

信に「王宮には近づくな」と警告する羌瘣。

信はその意味がわからないまま、王宮に向かうことになる。

元は敵だったからこそ信の並外れた力を見抜いていた肆氏に

大王の護衛として王宮に呼ばれたのだ。

 

大王嬴政を暗殺しようとする者が、また動き出していた。

 

羌瘣はいったい何故信にあの警告をしに来たのか。

羌瘣も暗殺者だとすると、嬴政を守る立場の信にとっては

敵ということになるのか・・・

色々気になるところで9巻へ続いていく。

 

この巻では、紫夏という女性の存在の大きさが見えてくる。

紫夏がいなければ、大王としてのこれからの嬴政は

存在しなかったかもしれない。

味も匂いも痛みも暑さも寒さも全ての感覚を失っていた政。

まともな感覚を取り戻すことが出来たのは紫夏の力と言って

いいと思う。

脱出に関わった他の者達も命を落としたが、全員の力で、

この脱出劇をやり遂げた。

 

亡霊は政に「お前は死を招く」と告げる。

たしかに、次に王となる者を守るためには皆命を捧げる。

王になれば、ずっとそれは続いていく。

その責任の重さと覚悟を、まだ子供の政が突きつけられる

場面。

 

信は実戦を経験して、この半年で驚くほど強くなった。

王宮に行った信は、刺客から政を守る事ができるのか・・