隠れて趣味を貫く人へ。私の経験から、原稿は片付けておきましょうという話。
今はネット上でpixivとかでも作品読めるのでそんなに大量の本を家に置いてる人少ないかも。
20年30年前の昔はそういうのはなかった。
書いてる人って読むのも大抵好きなので私も例にもれず、コミケの度に買い込んだうすい本をいっぱい持っていた。
その頃の仕事は自宅兼店舗で友禅職人。
取引先の人に玄関で応対する程度で中まで人が入ってくる事はない。
一人暮らしの気楽さで、仕事用の画材の置いてある机と、その頃はサークル活動してたので同人誌制作用の机と。
並べて置いてて、常に描きかけの原稿は出しっ放し。
ある日の夜、外でかなり飲んで泥酔して帰ってきてそのままベッドで爆睡。
夜中に、ドーンというすごい音がすぐ近くでして部屋まで揺れたような気もしつつ、どこか近くで事故かなあと思い、眠いので起きずに再び寝てしまった。
半分寝ぼけながら、でも何かドンドン音がしてあまりにうるさいので何だろうと思って目を開けると、ベッドヘッドを向けている側の大きな窓を何者かが叩いて割っていた。
目の前に大きく割れたガラスの鋭い先端が見え、部屋中にガラスが飛び散って、窓は原形をとどめていない状態。
私の部屋はマンションの二階で、一階が半地下の位置にあり、二階が外の道路から比較的近く簡単に入られやすい位置。
ベランダに侵入した何者かが、私の部屋のガラス窓を何かで叩き割っていて、さっきからの音の正体はそれだった。
飛び起きて窓とは反対の玄関の方から脱出。
携帯電話も無かった時代。24時間営業の店まで数百メートル全力疾走して助けを求め、電話を借りて110番通報。
逃げながら考えた事は、もし追いかけて来られて叩き殺されたらどうしようという事と、もしそれで自分が死んだりしたら、部屋に置いてある大量の本と描きかけの原稿(健全な内容ならまだしもR18の漫画)
あれが人目に晒されるのかという事。
机の上に広げた参考資料もいろいろと、、、、
死ぬかもという時にも、人はこういう事を心配するものなんだと思った。
殺されなかったから今も生きていて呑気にこんな事を書いていられるのは有り難い事だけど。
犯人は捕まってないけど、おそらくラリった人間が、うちのマンションの隣のパチンコ屋さんの入り口に置いてあったコンクリートブロックをベランダに投げ込み(最初のドーンという音はそれだったらしい)そのブロックで窓を叩き割っていたという事らしい。
侵入するだけにしては窓が原形とどめないほど割れてて、私が逃げた後も貴重品は大丈夫だったので。
警察が来てくれた時は犯人は去っていた。
そういう事があると指紋を取ったり写真撮ったりするので現場は保存しなければならず、机の上に広げっぱなしのあの原稿が、、、
警察の人に見られただけで、私が死んでみんなに見られるよりはいいけどかなり居心地悪かった。
人生で一番、消えてしまいたい時間を味わった気がする。